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君、花海棠の紅にあらず|第25話・26話・27話・28話のあらすじ

『君、花海棠の紅にあらず』のあらすじ第25話~第28話(全49話)

こちらの記事では『君、花海棠の紅にあらず第25話~第28話までのあらすじとネタバレをまとめています。ネタバレを見るには をタップしてください😃

今回から新たに登場する人物

曽愛玉ゾン·アイユー:范漣が遊びで付き合っていた女性
鳳尾フォンウェイ:范漣と曽愛玉の娘

あらすじ第21話~第24話を見る

第25話 達観

寧九郎との共演を願う商細蕊は答えを聞きに行く。そんな中、劇楼は修羅場と化していた。原小荻の妻が兪青の元に乗り込んできたのだ。原小荻の言葉を聞いた兪青は深く傷つき芝居ができなくなる。その心中を酌んだ商細蕊は独断で答えを出す。そして、劉漢雲の宴の日を迎えるが、常之新の姿を見た商細蕊の心は煮えたぎるのだった。


斉王府を訪ねた商細蕊と程鳳台。庭には菜園があり作物が植えられている。細蕊は畑仕事をしない鳳台に、いざとなったら金銀や骨董品より作物の知識が重要だと説く。すると、そこで農作業をしていた人も賛同し、こう続ける。今は一触即発の状態だ。戦が始まり代々続いた王族が露頭に迷った事例はある。今度の戦は世界中が巻き込まれるはずだから、自分で食べ物を育てれば安心できると。そんなことになったら芝居はどうなると心配する細蕊。しかし、娯楽は人の本能だから無くならないだろう。王朝が変わっても歌や踊りは廃れていない。結局、商売人が割を食うと鳳台が不満を漏らす。戦になれば金持ちは軍にたかられ、蓄えた財産は軍費になる。役者に頼ろうとする支援者に呆れる斉王。実は農作業をしている人こそ斉王だった。

「潜龍記」は礼儀作法や言葉遣い、衣装に問題が山積みだと不満を漏らす斉王。西太后についてはでたらめだと言う。宮中にいた人間はまだ生きているのだから、事実と違っては楽しめず、庶民も信じてしまうと釘を差す。寧九郎は細蕊をかばい、斉王は芝居を観て感動し、号泣していたと告げ口する。寧九郎も「潜龍記」は観ており、細蕊はかなり腕を上げたと評価する。
今日訪ねた理由を聞かれても緊張して言えない細蕊に代わり、鳳台が説明する。劉委員の祝宴の招待状を見せ、寧先生に商座長との共演を依頼する。しばし沈黙していた寧先生が口を開く。劉漢雲とは顔見知りだが、まさか新政府でも高官の座につくとは思っていなかった。何年も経って本当に元の名前に戻していたと驚く。劉漢雲が宮中に上がった時、西太后は李鴻章と意見が合わず漢族を嫌っていた。劉漢雲の ”漢” も問題になり罷免されそうになったそうだ。寧九郎が西太后に彼の名は”劉謹雲”だと申し上げ、太監に賄賂を贈って口裏を合わせ、どうにか切り抜けたのだ。

斉王は劉漢雲を良く思っておらず、重用されていたのに清朝が倒れるや否や新政府に寝返ったと批判的だ。なぜあんな裏切り者の養子になったと細蕊を責め立てる。寧九郎が祝宴に出席することを許さない斉王は、細蕊と九郎は赤の他人だから協力する必要もないと言い退ける。細蕊が立ち去ろうとすると、鳳台が商座長は”梨園の尚書”寧九郎の弟子だと言う。いつ弟子になったと問いかける細蕊に、今だと答える鳳台。寧九郎はいつも技を伝授できる弟子がおらず残念がっていた。しかし、寧先生は技は教えてあげるが弟子にはしないと拒む。とはいえ、年の離れた友として誘われるなら引き受けるという。

梨園会館で準備をしていると、楽屋に原夫人が乗り込んできた。神聖な楽屋で騒ぐなと座長が騒ぎを鎮めようとするが、原夫人の怒りは収まらない。引退した夫がなぜ毎日劇場に足を運ぶのかと思ったら、女狐が誘惑していたと悪態をつく。兪青の楽屋前に立ちはだかる座長を平手打ちし、顔に傷を負わせる。原小荻がようやく止めに入るが、原夫人の罵倒は止まらない。原が兪青とは師弟の関係以外の何ものでもないと明言する。付き合う気があればとうにしていたと聞いた兪青が楽屋から顔を出す。

君、花海棠の紅にあらず 第25話
出典:https://winter-begonia.com

原小荻と兪青の噂は有名だった。兪青は由緒ある家柄の娘で、原は身分を気にして兪青と距離を置いた。だから兪青は家を出て梨園へ飛び込んだ。すると原は、師弟は結婚できないとはね付けた。兪青はそれでも良かった。たとえ原と離ればなれでも兪青が歌えば原が聴く。しかし、今日の原の言葉で兪青の芝居は喜劇になった。兪青は永遠に歌うことができないと商先生に伝え、舞台を潰したお詫びをする。
細蕊は兪青の心中を察する。兪青は原がいたから演じられたが、原に傷つけられて兪青の心の中では原は死んだも同じだ。原が死に、兪青の芝居も死んだ。芝居が死んだら歌えない。細蕊は公演を中止することにする。兪青は最後に「潜龍記」は名作だと伝える。

商先生は舞台に上がり、今日から「潜龍記」は休演だと観客に発表する。原因は水雲楼にあるので、払い戻しと1元の賠償金も払うと伝える。そう聞いた漣は、相談もなく休演するとは大損害で、梨園の投票で負けてしまうと腹を立て、支配人の座を降りると言い出す。

細蕊は兪青に一目置いている。賢い人は思い悩む。無理強いすれば自害するかもしれない。細蕊は情けをかけた。大奥様が亡くなった今、兪青まで死んではならない。「潜龍記」の開演ごときに人が死ぬのは嫌だと細蕊が言う。兪青は陳妃の化身だ。兪青なしでは味気ないと呟く。

翌日、細蕊が斉王府を訪ねる。寧先生の前で共演の歌を披露する。歌に聞き入る寧先生。細蕊の演技を見つめ、やがて笑みがこぼれる。

祝宴の日がやって来た。劉委員を拍手で迎える招待客。常之新の姿もある。席へ案内して劉委員に酒を注ぐ鳳台。こなれた接待に劉委員が感心する。曹司令官の姿が見当たらないと見回す劉委員に、とっておきの贈り物があると告げる。

その頃、楽屋では商座長のスネ肉が間に合わなかった。しかし、寧先生がいれば心強い細蕊。寧先生は細蕊の食欲を気にしていたが、更に増えたと案じる。細蕊は寧先生が引退後に出演するのが宴席で申し訳なく思うが、寧先生は大歓迎で、むしろ感謝している。この恩はいつか返すと細蕊に伝える。

芝居が始まる。舞台に寧先生の姿が現れると、姿を確認しようと劉委員が思わず立ち上がる。鳳台が何やら耳元で囁くと劉委員は感謝の意を示す。その一方で、細蕊が登場すると常之新は血相を変える。

昔を思い出す劉委員。劉漢雲は当時、芝居に否定的だった。皇太后が寧九郎を厚遇し、”梨園の尚書” に任じられた時、観劇は墜落の元だと言ったのを九郎に聞かれてしまった。しかし、九郎は何も言わず立ち去った。
その後、重陽節に上秦を願い出た劉漢雲。皇太后の命に背いたとして処刑が言い渡される。すると九郎は舞台を下りて劉漢雲に近づく。~♪憎むべき悪人め 逃してなるものか 敵は悲惨な状態にある 私が敵を生け捕ろう~と歌い、槍を劉漢雲に突き出す。~鎧は粉々になり 泥にまみれて死ぬのだ~と歌いながら劉漢雲を槍で突いて池へ落とす。九郎はやりたい放題だと喜ぶ皇太后。その結果、劉漢雲には3か月の謹慎と半年の減俸が命じられる。命を助けられた劉漢雲は九郎を待ち伏せし、侮辱したのになぜ助けたと尋ねる。九郎は何も答えなかった。

細蕊と九郎の共演は大反響に終わる。劉委員も満足げだ。その後、久しぶりに会話を交わす2人。劉漢雲は寧九郎があの時、なぜ助けてくれたのかをずっと聞きたかった。役者に政は分からないが、芝居で謳われるのは大半が大義だと寧九郎が答える。何十年たってもあの時と変わらない劉を見ると、寧九郎の行いは正しかったようだ。劉漢雲は長らく待って九郎の歌を再び聴けたと感謝を伝え、これからは北平でも上海でも自由に歌えると受け合う。

細蕊が劉委員のテーブル席に挨拶に来る。劉委員が長年の夢が叶ったと細蕊にお礼を言うと、細蕊は義父に頼み事をする。雲喜班の周香蕓を引き抜こうとしたが、座長の四喜児が怒ってしまい、周香蕓を半殺しの目に合わせたと説明する。劉委員は手伝ってもいいのだが、手ぶらで頼むわけにはいかない。すると鳳台がいくらでも出すと申し出る。

そこに曹司令官が到着する。劉委員と挨拶を交わした後、細蕊を見つけた曹司令官は、今日の出し物を秦腔に変えるよう言いつける。これを機に劉委員と曹司令官が一悶着起こす。そして劉委員は、絡子嶺事件の主任検事を務める常之新を紹介し、凶悪な相手でもひるまず捜査を行うと付け加える。劉委員が曹司令官と曹師団長を別室へ連れ出すと、細蕊は常之新を睨み、酒を奪い取る。

第26話 烈火のごとく

曹司令官は息子へ兵権を譲渡するよう劉漢雲から説得され、激怒する。一方、商細蕊は常之新が程鳳台との仲を切り裂こうとしていると知り、怒りが抑えられなくなる。一方、南京行きが決まった曹司令官に別れを告げられた程美心は、涙ながらに思いをぶつけ銃を自身に突きつける。そんな折、劉漢雲は匪賊の公開処刑を執行しようとするが、銃を持つ古大犁の姿があり…。


睨み合いながら酒を飲む商細蕊と常之新。ただならぬ雰囲気の2人に程鳳台と范漣は注視する。

君、花海棠の紅にあらず 第26話
出典:https://winter-begonia.com

別室へ呼び出された曹司令官。劉委員から兵権を譲れば南京で大官に昇格させると打診される。激怒する司令官に、罷免しないだけでも感謝しろと強要する。程鳳台に指示していた事を劉委員は承知だと曹師団長が知らせる。匪賊と軍が癒着していたと民衆が知ったらどう思うかと父親を追い詰める。曹師団長の心の中では国が全てで、他人も家族もない。司令官は体力を失ったうえ確固たる決意もない。同じ曹家の兵として、息子に兵権を渡すのが適当だと投げかける。父親に銃を向けられても死を恐れない曹師団長は、曹家を継げるのは自分だけだと強調する。劉委員が権力は曹家から動かないと口添えすると、曹司令官は渋々譲渡する。国のために力を尽くした曹司令官をねぎらい、南京で待っているとくぎを刺す。そして曹師団長に曹家の兵を率いて北平を離れるよう命じる。

飲み続けていた商細蕊は程鳳台に介抱されていた。いつになれば過去を忘れられるのかと案じる鳳台。曹司令官を見かけ、細蕊に暴れるなと言い残し、見送りに行く。1人会場に戻った細蕊は席へもどる。范漣も常之新も酔いつぶれている。細蕊が横にいると気付かない常之新は、細蕊の悪口を言い続ける。商細蕊は義兄に釣り合わない、芸に秀でている以外褒められる所は無いと中傷する。商細蕊のそばにいたら人生は災難の連続になるから義兄を遠ざけろと范漣に忠告する。細蕊に気付いた范漣は、酔っ払いの戯言だとごまかすが、我慢できない細蕊は、師姉だけでなく鳳台との仲まで引き裂くのかと、常之新の頭をテーブルに叩きつけ殴りかかる。水雲楼の座員たちが止めに入り、曹師団長が細蕊を投げ飛ばす。鳳台が駆けつけ、客たちに詫びる。「常之新、殺してやる」と恫喝する細蕊を連れ出す。常之新は床に倒れたまま。

鳳台が運転手にドアを開けさせ、細蕊を車に蹴り入れる。蹴られた細蕊は、車の中で鳳台に殴りかかる。細蕊は、自分ではなく常之新の肩をもった鳳台に怒っていた。殺してやると首を絞める。

君、花海棠の紅にあらず 第26話

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水雲楼に到着しても2人の争いは収まらない。鳳台は車から出てきた細蕊を羽交い絞めにする。細蕊は鳳台の手を噛んで対抗する。稽古中の座員が何事かと様子を伺う。部屋へ戻り、本気で殴ればその程度では済まないと言う細蕊は、常之新は敵だから関わるなと忠告し、傷を負った鳳台に秘伝の塗り薬を差し出す。

翌日、程鳳台が妹・察察児の背が伸びたと成長を喜んでいる。范湘児は、察察児を学校へ行かせて正解だったと打ち明ける。昨日の宴を尋ねる范湘児。劉漢雲は「白娘子」の舞台に満足したと伝える。深夜まで公演が続いたので、范湘児を起こさないように宿で寝てきたと釈明する。

曹司令官が程美心を呼び出し金塊を差し出す。曹司令官は南京へ発つことになった。地位は上がるが実際は失脚で、兵と権力を失うと美心に伝える。今までのような暮らしは難しくなるので、金を持って生家へ戻るよう言い聞かせる。しかし美心は一緒について行くと言って聞かない。司令官は美心が嫁いできたのは程家の借金を返すためだと誤解しているが、軍営に住まない理由は、銃声や出陣の合図を聞くたび戦場から戻らないかもしれないと怖くなるからだった。ずっと曹夫人でいたい美心は銃を手にし、自分の喉元へ当てる。置いて行くのなら自分が虞美人(項羽の寵姫)になる、と引き金を引く。しかし弾が入っていない。司令官は高笑いし、今でも熱い女がいたと喜び、美心を抱きよせる。美心は虞美人だが私は覇王ではないと言い、南京へ向かう理由を耳元で囁く。

街に人だかりが出来ていた。南京の委員は多くの山賊の砦を破滅させたと人々が噂する。水雲楼の座員が群衆に割り込む。臘月紅がその場に居合わせたグー·ダーリーにぶつかってしまう。鋭い目つきのグー·ダーリーに驚くが、男役の女性を長く見てきた臘月紅は女性だと見抜く。他の座員は男だと言い張り、賭けをすることに。

劉委員が建物から出てくると、拍手が沸き起こる。劉委員は歓迎してくれた感謝の意を表し、悪を排除することを宣言する。北平の郊外で悪事を重ねた匪賊は死罪にあたるとし、罪人を連れて来させる。グー·ダーリーが何かしでかすと予期した臘月紅は、様子を伺う。刑を執行する時刻になり、銃に手をかけるグー·ダーリーを見つけ、臘月紅はすかさず危険を知らせる。兵がグー·ダーリーを射撃する。曹師団長が逃げるグー·ダーリーを追い、女性の装いに着替えさせる。

君、花海棠の紅にあらず 第26話
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曹師団長がグー·ダーリーに事情を説明する。仲間はすでに帰路につき、さっきの罪人は替え玉だった。劉委員の目を欺いたのだ。お腹の子を案じる曹師団長は、封鎖される前に街を出るよう言いつける。

一方の劉委員は、生死は問わないから刺客を捕らえろと指示を出す。死刑囚の亡骸は3日間街にさらし、劉委員の平和への決意を民衆に見せつけようとする。危険を知らせた臘月紅が劉委員に面会する。水雲楼の者だと聞いた委員は、さすが商細蕊の教え子は機転がきくと褒め、君のおかげで命が助かったと返礼を聞く。ためらう臘月紅に、どんな要求でも人道と法に背かないかぎりは叶えてやると伝える。すると臘月紅は跪き、水雲楼を出て劉委員に仕えたいと申し出る。

水雲楼に戻った座員たちは元気がない。商座長は臘月紅がいないことに気づく。劉委員が連れて行ったと聞き、また面倒事かと心配する。臘月紅は有望だから劉委員のもとで鍛えるそうだと座員が伝える。

水雲楼一座が食卓を囲む。臘月紅が役者を辞めると知り、裏切ると思っていたと十九が口火を切る。これで水雲楼は平和になると他の座員も頷く。そこへ臘月紅が戻ってくる。座長に跪き、ここを出ると告げる。商座長は臘月紅を引き留めるが、梨園を離れる絶好の機会だと決意を曲げない。稼ぐためでなければ役者をやっていないと言う臘月紅は、殴られたり蔑まれ続けるのが嫌だった。劉漢雲に全てを託しても、捨てられたら終わりだと座長は案じるが、臘月紅は偉くなりたいと本音を明かす。商座長は、心が離れたものを引き留めても無駄だと観念し、二度と水雲楼の敷居はまたがせないと別れの言葉を贈る。臘月紅は跪き頓首する。手ぶらで出ていく臘月紅。静まり返る水雲楼一座。

翌朝、商座長は9時になっても起きてこない。小来が食事を運んでご機嫌を取る。そこへ外から座長を訪ねる男の声。傷だらけの小周子が運び込まれる。劉委員に頼まれて連れてきたのだ。小周子を中へ運び入れ、医者を呼ぶよう指示する。劉漢雲にお礼を言いたい商座長だが、劉委員は急な召集で臘月紅を連れて南京に戻っていた。

常之新の見舞いに来た程鳳台。頭に包帯を巻かれた常之新が面倒をかけたとお詫びする。蒋夢萍は、まだ旧恨を忘れられないのかと常之新に手を出した細蕊を非難し、このままではみんなに見放されてしまうと案じる。夢萍が立ち去ると、常之新は商細蕊が暴れた真実を語りだす。原因は夢萍ではなく、鳳台から細蕊を引き離そうと話していたのを聞かれたことだと告げる。細蕊は鳳台を信じている。細蕊の心の中では家族同然の存在になっているのだ。

水雲楼では、小周子のうっ血がとれず、商座長がマッサージしていた。そこへ大聖が慌ただしくやってくる。新聞に根も葉もない記事が載っていると内容を教える。寧九郎が隠し子の座長のために復帰したという記事と、恋仲だっと兪青と破局し「滞龍記」を封印したという記事。すると今度は外から「原の三旦那 奥様のお世話はしなくても?」という声が…

第27話 夫婦の形

水雲楼では入門の儀式が行われ、小周子は正式に商細蕊の弟子となる。そんな中、程鳳台の元に、范漣の子をみごもっている曽愛玉が早産しそうだと連絡が入る。雲隠れした范漣の代わりに付き添う程鳳台だったが、偶然にも范湘児に誤解されてしまう。帰宅した程鳳台は范湘児がある女性から届いた手紙を燃やしたことを知り、家を出る。


原小荻が商細蕊を訪ねてきた。細蕊は神妙な面持ちで原を迎える。その目は潤んでいる。原が深く溜息をつき、迷惑をかけたと謝る。原夫人が「滞龍記」を台無しにしたお詫びとして品を差し出し、程鳳台と范漣にも謝罪を伝えておくよう頼む。おもむろに原は、兪青が会うのを拒むと彼女の現状を尋ねる。涙を流し、語り始める細蕊。兪先生は繊細な性格の持ち主だから、原が人前で放った言葉に死さえ考えていた。もし彼女のことを思うなら尋ねるのは辞めてほしい。彼女は2度と舞台に立つことは無い。彼女は原小荻に憧れ、家を飛び出し役者の道へと進んだが、今は身寄りを寄せる所がない。これからどう生きていくのかと涙する。

君、花海棠の紅にあらず 第27話
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原も涙を流し、おいとまする。原が出ていくのを見届けた細蕊は、痛快だと喜ぶ。原が持ってきたお詫びの品を金に換えて、噂になって受けた苦痛の代償として兪青に渡すよう小来に指示する。

始祖に線香をお供えする商座長。小周子が始祖に挨拶する。そして弟子にしてくれた商座長に、芸に身を捧げる誓いを立てる。商座長はお茶をすすり、誓いを忘れず日々努力するようにと師匠らしく振舞い、証文に押印する。なんだか気取ってるなと呟く鳳台に知らせが入る。曽愛玉が出産しそうだという。范漣は杭州に舞台の道具を仕入れに行っており、口実を作って逃げたと鳳台は勘ぐる。

腹痛に悶えるが病院へ行くのを拒む曽愛玉。命と引き換えの出産になりそうだと縁起が悪いことを言う。2人死ぬだけで10万元が節約できると皮肉を言う愛玉に、駆けつけた鳳台は、金より命が大事だと病院へ連れていく。

君、花海棠の紅にあらず 第27話
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車の中で破水した愛玉に、妻が出産したから知識はあると安心させる。

愛玉を運び込んだ病院に蒋夢萍が入院していた。同室になった愛玉に挨拶をする。病室の外で医師と会話している声が鳳台だと気づいた夢萍。声の主は愛玉の主人か尋ねると、病室の外で旦那風をふかせて、上海の男は見栄っ張りだと答える。鳳台と顔を合わせないよう夢萍は病室を出る。こっそり覗いて鳳台の姿を確認した夢萍は、鳳台が帰ったのを見計らい、電話をかけに行く。

程家では范湘児が家の用事を仕切っていた。鳳台宛ての手紙が湘児に渡される。差出人は春萱。同時に電話が鳴る。夢萍からの電話だ。口ごもる夢萍だったが、病院である人を見たと切り出す。

話を聞いた湘児は胸を押さえて座り込む。平静を失う湘児を心配した春杏が助けを求めると、みんな次々とやって来る。程美心は蘇合香油を持って来させ、匂いを嗅がせて太陽穴に塗布する。湘児が皆に出ていくよう求める。弟が何かしたのなら懲らしめればいいという美心の声は外まで漏れている。鳳台が外で家庭を作り、子供まで作ったと湘児が泣き崩れる。それを聞いた察察児は走り去る。

赤ちゃんを抱く鳳台は、顔が范漣に似ていると笑みを浮かべる。鳳台の顔に似ていると返す曽愛玉は、鳳台が父親だったらよかったのにと漏らす。愛玉は范漣に会いたくない。父親が子に会う権利はあると鳳台は言うが、愛玉が去ったら子供は范漣のものになる。

鳳台が運送業に戻ると、察察児から電話だと伝えられる。何度も電話があったという。義姉に秘密がばれたと察察児が伝える。

程美心が范湘児を慰める。病院にいた女は友人の相手かもしれないから憶測で疑ってはいけないとなだめる。きっと誤解だから、必ず真実を吐かせてみせると約束する。

帰宅した鳳台を座らせ、事情を説明するよう促す。子供の父親が誰であれ面倒事に関わるのは間違いだと謝るように強要する。鳳台は自分が間違っていたと湘児に謝るが、范漣に手を貸したと事情を明かす。すると、独身の范漣に濡れ衣を着せるのかと湘児が怒り出す。子供がいると認めない気なら出て行けと怒りをあらわにする。冷静になったらすべてを説明すると言う鳳台に耳を貸さず、程家の財産は范家のお金で築き上げられたと言い放ち、印鑑を出すよう言いつける。湘児の本音を聞いてしまった鳳台。美心がなだめるが、湘児は尚も続ける。子を産む女に手紙をよこす女もいると、春萱から手紙が来たことを匂わす。春萱と聞いた鳳台は手紙の在処を尋ねるが、湘児は燃やしていた。大きな誤解をしている湘児に美心が教える。春萱は鳳台の実母の名前で知ってる人はわずかだと。美心は鳳台の様子を見に行く。

手紙は半分以上が燃え、中の写真も燃えてしまった。十数年探し続け、ようやく来た手紙を燃やされた鳳台は泣いていた。印鑑と小切手を机に置き出て行く。出て行かずに話し合えば済むと引き留める美心の声は届かない。

以前の程家には借金が残されていた。曹万鈞に借金の肩代わりを拒まれた美心は、范湘児の嫁荷に期待したが、鳳台は勝手に結婚を断っていた。鳳台は家を売りればいいと考えていたが、美心は家を売っては程家は終わりだと察察児を売りに出した。これを知った鳳台は范家の娘を娶って嫁荷をもらうことにしたのだった。

あてもなく車を周回させていた鳳台は、水雲楼へ向かうよう運転手に指示する。

一方、范湘児の結婚の経緯。一度鳳台に手紙で結婚を断られたが、やっぱり娶ると手の平を返す鳳台に湘児は腹を立てた。お金に困っている程家は嫁荷が目当てだと見て、上海へ行ってお金を見せびらかた後、破談にしてやろうと計画していた。しかし上海で鳳台に会い、結局嫁入りした。

悪いことをしたと深く後悔する湘児をなだめる美心。春萱のことを知ってる者はわずかだと、昔話を聞かせる。

当時の美心はまだ子供だったが、春萱のことはよく覚えてる。美しく華やかで、鮮やかな衣装と宝石を身に着けていた。しかし、その美しさこそが程家と春萱の間に溝を生んだ。程家に入ってからも春萱は舞いを続けていた。ある日奥様に見つかり、下品な芸を子供たちに見せるなと咎められる。鳳台が奥様に反抗すると、悪い子に育てたと叱咤される。仕舞いには、役者を娶り家風が乱れたと春萱を女狐呼ばわりし、一家の恥だと吐き捨てる。

君、花海棠の紅にあらず 第27話
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春萱は程家に入る前、役者業とは縁を切ると約束した。それを春萱は後悔していた。家に縛られ、旦那には罵られる。耐えられなくなった春萱は、自由にしてと旦那に願い出る。
カバンを持つ春萱に、どこに行くの?と幼い鳳台が聞く。舞台を降りいつのまにか自分を見失っていた春萱は、自分を取り戻しに舞台に戻ると告げる。いい子でねと言い残し、去っていく。これが最後の別れになる。

春萱が程家に入ったのは跡継ぎを産むためだったのかもしれないと美心は推測する。春萱の話は聞いたことがない湘児だが、鳳台が春萱を忘れたことはない。愛していたのに捨てられて恨んでもいた。言葉にならない存在なんだろうと美心は想像する。春萱が去って20年以上経った今、愛も恨みも忘れ、湘児が一番の家族だと鳳台も気が付くだろう。

水雲楼を訪ねた鳳台は、一番清潔な部屋を要求し、祠へ案内される。始祖と眠らせる気かと不満げな鳳台に、義父もいると細蕊がひやかす。細蕊は嬉しそうに、なぜ奥様から締め出されたのかと尋ねる。家族から頼られすぎて身動きが取れず、心は老いるばかりと忠告する一方で、今回の件は最高に幸せな出来事で、これからは何でも自由にできると喜ぶ。まともな発言ではないが間違いではないと言う鳳台は、商いで賭けに出たくても冒険できないことがあり、葛藤して苦しいと打ち明ける。家族に対する責任は背負ったら一生放棄できないと考える鳳台を細蕊は理解できない。細蕊は役者人生の妨げになるものとは躊躇なく縁を切る。家族や親戚に芸の邪魔をさせないどころか、舞台に立てないなら命も不要だと断言する。侯玉魁は所帯持ちで芸を続けたと言う鳳台に細蕊がむきになる。侯先生は家族を養っていくために必死で舞台に立ちケガをした。そして鎮痛のためにアヘンを吸ったことで引退に至った。それがなければ今も現役だとまくし立てる。落ち込んでいる鳳台にお構いなしの細蕊は、なぜ奥様とけんかしたと嬉しそうに聞く。鳳台はたまには恩返しするよう細蕊に言いつける。

范湘児は焼けた手紙を凝視し、この便箋に見覚えがないかと使いに尋ねる。ソ連から輸入されたもので、奉天でよく使われるらしい。そう聞いた湘児は奉天へ行って情報を得て来るよう指示する。

范漣の子供の話を聞いた細蕊は、夢萍は小さい頃から人の家庭に首を突っ込むところがあったと批判する。夢萍が奥様のそばにいたら鳳台は不幸の連続になるとすら言う。率直な物言いをする細蕊は、奥様の金のおかげで家を再興できたのに何を怒ってると臆面もなく聞く。簡単に説明できるものではなく、言っても細蕊は理解できないだろう。怒った訳は他にもあると懐中時計を見せる。自分の写真を入れていると勘違いした細蕊に、母だと教える。

第28話 腕の中の娘

生まれた赤ん坊を引き取りに行った程鳳台は、曽愛玉に実の娘として育てると約束し、鳳尾と名前をつける。曽愛玉は涙を流して鳳尾と別れ北平から旅立つ。范漣には子供の世話は到底難しく、程鳳台は赤ん坊を水雲楼に連れていくことに。一方、范湘児は曽愛玉を調査し、程家の財布を握ることで冷静さを保っていた。


程鳳台の母・春萱の写真を商細蕊が覗き込む。春萱も役者をしており、楊貴妃が一番得意だった。行方不明の母を捜して十数年が経ち、やっと手紙が来たのに妻に燃やされたと愚痴をこぼす。手紙をくれる気になったのなら、いずれ会いに来るはずだと細蕊は慰め、これからどうする気かと尋ねる。鳳台は身ひとつで出てきたので手探りの状態だ。細蕊は水雲楼が養うと申し出る。水雲楼は”金のなる木”で、今が収穫の時だ。子も含めて養うことは出来る。鳳台は懐中時計の写真に目を落とし、母を思い出す。母の歌が好きだった鳳台。母はよく歌ってくれたが、旦那が帰ってくると歌うのを止めていた。鳳台の父は母が歌うのを嫌がっていたからだ。

翌朝、稽古の声で目が覚める。苦情を言う鳳台。しかし細蕊は意に介さず、名役者になるには鍛錬が必要だと言い、座員たちを鍛え上げる。名役者になりたいなら、我慢して耐え抜けと叱咤する。水雲楼にいる鳳台を范漣が訪ねて来た。頭に包帯を巻いている。范湘児に白状したら、鳳台と口裏を合わせていると手を出されてこの有り様。湘児は弁解を聞けば疑いを増す性格なので、鳳台は気長に待つつもりだ。せっかくの機会だから自由を満喫すると言う。片や范漣は子供を責める。自分の行いを悔い改めない范漣に、今晩曽愛玉が北平を発つので見送るよう言いつける。

曽愛玉を見送りに来た鳳台。愛玉は最後の母乳を与えていた。何も見ていないと後ろを向く。離れがたいなら力になると引き止めるが、娘は鳳台といたほうが幸せになれると愛玉の決意は固い。鳳台は実の子として育てると約束する。

車に乗る前に最後のお別れをする愛玉。別れを察知したのか子が泣き出す。愛玉は玉を取り出す。その玉は鳳凰の尾の形をしている。記念として残してあげたいが、その玉はまだ必要なのであげられない。鳳凰の尾と聞いた鳳台は、子を鳳尾フォンウェイと名付ける。鳳尾と愛玉が呼びかけると子は泣き止む。気に入ったようだ。出発の時間だが范漣は現れない。これ以上は待てないと鳳尾を鳳台に託し、車に乗り込む。その頃、范漣は人力車で北平駅に向かっていた。しかし北平駅に着いた時には汽車は出発していた。

君、花海棠の紅にあらず 第27話
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鳳台と落ち合う范漣。見送りに行ったが愛玉とは結局会えなかったと聞き、范漣を叱る。子供が出来たのに、ずっと責任逃れをして、金を出そうともしなかったと、強引に子を抱かせる。不慣れな范漣に子供の抱き方やミルクのあげ方を教える。子守は辞めさせたので范漣が面倒をみるしかないのだが、おむつ交換を拒否し、叔父たちから何を言われるかと自分の心配をする。可愛がろうとしないので、鳳台が水雲楼で育てると吐き捨てる。
翌朝、子を連れて水雲楼へ向かう鳳台を范漣が呼び止める。子にキスをし「僕の娘」とささやく。少しは情が生まれたようだ。鳳台が出ていくと深く溜息をつく。

鳳台が水雲楼に身を寄せていると范湘児に知らせる程美心。そう聞いても湘児は、役者といるのが楽しいのなら放っておくと冷静だ。本当に別れる気かと美心は心配するが、今回はお互いに非があり、どちらも譲れないと強気。この数日で湘児は曽愛玉のことを調べていた。愛玉は社交界の花形だが、現金目当てで鳳台と范漣を手玉に取ったと思っている。現金が尽きるのを待つ姿勢だ。印鑑がここにある限り鳳台はどこにも行けず、外の女の非情さが分かれば戻ると信じている。今は家業を守り、鳳台の実母も見つけ出すと意気込む。

水雲楼の座員たちが興味津々に鳳尾を取り囲む。黙想をしていた商座長が騒がしいと叱りにくる。

君、花海棠の紅にあらず 第27話
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子を連れてくるとは思っていなかった商座長は驚く。実は子供が苦手らしい。子供の鳴き声が夜に墓の脇で聞こえるふくろうの鳴き声みたいで怖いと言う。ひどい例え方をする商座長に、子を抱かせようと追いまわす。そんなに子供が苦手では、将来できた時どうするのかと心配する鳳台をよそに、子どもは作らないと言い切る商座長。水雲楼の商家や棍法は小周子に受け継がせる気だ。子供が嫌いな商座長は、大枚をはたいて子を買う人などいないと言う。子の名前が鳳尾と聞いた商座長は、言いにくいから鳳乙と呼ぶことを勧める一方で、父子で同じ字を使うことにあきれる。

蒋夢萍は程家を訪ねるべきか思案していた。鳳台が家を出たと聞き、自分のせいではと案じている。

君、花海棠の紅にあらず 第27話
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電話する前に相談するべきだったと常之新は忠告する。鳳台は家族を大事にする人で、遊びで作ったことを家族に言うはずがないという。常之新が”遊びで作った”と言うことに驚いた夢萍は、口裏合わせをしてるのではと疑う。

鳳台は夜泣きする鳳尾をあやし、ミルクを温める。子供を泣かせるなと商座長が大声を出す。1人では手に負えない鳳台は、努力してると怒鳴り返す。息子はもう少し楽だったと、生まれた頃を思い返す。
当時、夜の相手ができない湘児は、鳳台の所に侍女・春杏を行かせた。湘児は悪びれる様子もなく、春杏がいやなら外で生娘を探してと言いのけたのだった。
鳳台はいつ家に戻り鳳尾に妹を作れるかと思いをはせる。

翌日、イラついた小来が布団を叩いている。財神の布団を干していると言うので鳳台に怒っているのかと思いきや、范湘児に腹を立てていた。ニ旦那はいい人だが奥さんの女財神はあまりにも人を見下してると腹を立てる。財神と言葉を交わした女は全員大変な目にあい、火祭りにあげられるとまくし立てる。そこへ座長が戻ってくる。水雲楼に大きな最先端の舶来品が来ると伝える。何かと知りたがる座員たちにヒントを与える座長。なんと小型の車を鳳台に贈るという。どの一座もまだ車は持ってないと座員は喜ぶが、車は高すぎると鳳台は遠慮する。子の世話を小来に頼んで出て行ってしまうので、こき使われる小来の怒りが再燃する。

街の一角に人だかりができ、新聞が飛ぶように売れている。梨園の投票日が迫っており、北平時報についている投票権で役者を応援しているのだ。北平中が梨園の投票に向けて熱くなるのも無理はない。投票が行われるのは5年に一度で、商細蕊も今回が初めてだ。最初の投票で勝った役者は次の投票に進める。開票は梨園会館で行われ、優勝者は街を練り歩き最高の栄誉を得る。細蕊の義父・菊貞は2回参加したが2回とも2位だった。これを残念がり北平を離れてからも毎日投票のことをこぼしたらしい。菊貞の無念を晴らすためにも細蕊を1位にしてあげたい鳳台。金があれば1位にしてやれたのにと漏らすと、小細工などは不要で実力で1位になれると断言する。

梨園会館の模様替えを行っていると、北平時報の薛社長がやって来る。今回の飾りつけは豪華だと、舞台や会館の様子をカメラに収めておくよう指示を出す。投票に関するの記事を8人の記者に60編も書かせた社長。役目はここまでと、後のことは鈕白分に頼む。今回は商細蕊がいる。梨園で求められるのは人気と話題性で、細蕊は北平で多くの話題を生んでいる。きっと今回も賑わせてくれ、大儲けできるかと期待する。

姜栄寿に話を持ち掛けられた四喜児は、自分の耳を疑う。あと10年早ければ投票で1位を獲れたかもしれない。しかし今となっては不安しかない。商細蕊に1位を獲らせたくない姜栄寿は舞台を離れて長い。甥の陳紉香は上海へ行き、息子の登宝は才が足りない。隆春班の役者では勝てないので、四喜児を推したいのだ。気が進まない四喜児に、今回は寧九郎も出ると教える。立ち上がる四喜児に、数年ぶりに競いたいだろうと姜栄寿が背中を押す。

第29話~第32話のあらすじ・ネタバレ

今回の記事でご紹介しているエピソード

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