こんにちは。中国ドラマにハマって間もない華流ビギナーです。
中国の時代劇を見ていると、なじみのない言葉がよく使われていて理解に苦しむことがあります。そこで、日常的には使われない用語について調べてみました。ドラマのワンシーンと共にお届けします。
中国時代劇に登場する「一里」のワンシーン
中国の時代劇を観ていると、距離を表すのに「里」が使われています。
チェック 中国時代劇でよく使われる言葉 一刻はどれくらいの時間?十二辰刻とは?
最近観た中国ドラマ『女医明妃伝(じょいめいひでん)~雪の日の誓い~』では、距離を表す「里」がどれくらいなのか分からず、いまいちピンとこない場面がありました。
オイラトの捕虜にされていた皇帝たちは、吹雪の中、ついに脱出を図ります。しかし狼の群れに襲われ負傷者が出てしまいます。みんなを守る責任がある皇帝は、負傷者とその場に残ることにし、ほかの者たちは先へ進むよう促しますが、忠実な兵たちは皇帝と一緒に残ると言い張ります。
明の兵として陛下を守るのが役目だと言う兵(周強)に対して皇帝が言ったセリフです。
周強に命ず
直ちに皆を率いて出発し
毎日80里進むこと
15日以内に大同へたどり着け
反する者は斬首に処す
『女医明妃伝』第37話より引用
吹雪の中を80里も進まなくてはならないのは、いったいどれほど大変なことなのでしょうか?
逃亡する前には、女医さんの允賢がこう言っています。
雪がやんだあと100里は進めるわ 追っ手を振り切れる
『女医明妃伝』第36話より引用
追っ手を振り切るために必要な100里とは、どれくらいの距離なのでしょうか?
中国の「一里」は時代によって違う
結論から言うと、現在は500mとなっています。
一里 = 500m
現在は500mとされていますが、昔は一里の距離は時代によって異なっていました。また「一里」には「長里」と「短里」があり、さらにややこしいことになっています。
- 「長里」約400m~約500m
- 「短里」約75m~90m
長里と短里でも、それぞれかなりの幅があります。長里には100mもの差があります。
資料によって異なる一里の距離
一里の距離をググってみても、この距離です!っとバシッと示してくれているものが見当たりません。いろいろな説がある、ということだけは分かったので、こちらでは出典が確かなものをいくつかピックアップしておきます。
一里=434.16m説
「魏・晋里は1里=434.16mであり、三国志の里単位は、韓伝と倭人伝だけ例外としてすべてこの魏・晋里と一致し、多くの学者達によって考証済みだ。」 『決定版邪馬台国の全解決』孫 栄健
一里=400m強説
・「篠原俊次が『計量史研究』という雑誌に発表した詳細な研究がある。」『邪馬台国ハンドブック』安本美典
・「唐代の1里を約400~440mと考察している」『漢唐一里の長さ』森鹿三(PDFファイル)
一里=76~77m説
「一里=約76~77m」の短里は、自然科学の研究者である谷本茂氏が「中国最古の天文算術書『周髀算経(しゅうひさんけい)』之事」によって科学的に証明している。(PDFファイル)
一里=複数説
一里を約320m、約453m、454m、441mとしている 『中国古典文学大系 22 大唐西域記』
中国時代劇の「一里」まとめ
- 現在の「一里」は500m
- 一里には「長里」と「短里」がある
- 「長里」は約400m~約500m、「短里」は約75m~90m
- 一里の距離は時代によって異なる
いかがでしたか?昔の一里には距離に幅があってスッキリしないのですが、現在の500mで置き換えれば計算しやすいし、「だいたいこれくらいかぁ」ということで中国時代劇を楽しみたいと思います。