聖徳太子や源頼朝の肖像画で見たことがある人が多いと思いますが、何か棒のような長細い板を持っていますよね?
中国の時代劇では、朝廷シーンなどでよく観るのですが、あの棒はいったい何なのか気になったことはありませんか?
そこで今回は、あの棒は何という名前で、何のために持っているのか調べてみました。
中国時代劇で官僚たちが持っている棒は何?
中国時代劇で観る【笏】の名称と役割
あの棒の名称は「笏(しゃく)」といいます。
もともと中国では、朝廷でメモを取るための手板として用いられており、主に竹が使われていたそうです。
うっすらと文字が透けているのがご覧いただけるでしょうか?
官僚たちは、陛下に謁見する前に意見を書き留めておいたり、朝儀中は陛下からの命や要点をメモしていました。同様に、陛下もメモとして使っていたようです。
また役人たちは上奏する際、両手で笏を持ち、口を覆うためにも使っていたそうですが、晋王朝以降は、儀式用の道具になったと言われています。
中国の笏はランク分けされていた
古代中国の笏は、身分に応じて違う素材が用いられ、形状もそれぞれ微妙に違っていました。
身分による笏の素材
皇帝は珍重されていた翡翠(ヒスイ)を使用し、貴族は象牙、官人は竹を使用していました。
翡翠の笏は、皇帝や皇子が儀式で使用した「圭」(↓画像)と似ていますが、同じものではありません。
唐代初期には、官職の五品以上の人は象牙の笏を使用し、それ以下は木製の笏を使用していました。
後に笏によるランク分けはさらに細かく分けられ、素材だけでなく形にも違いが見られるようになります。
形に違いがあることで、身分が一目で分かるようになりました。
明代の漢字辞典『正字通』では、笏の解説で「四品以上は象牙の笏を使用し、五品以下は白塗りした木製のものを使用」と記されています。
清王朝からは、官人たちは平身低頭で陛下に挨拶するようになり、笏は使用されなくなりました。
笏のサイズ
『礼記』の中で、笏の長さは2尺6寸と決められていました。中央の幅は3寸です。
礼記とは、儒教の最も基本的な経典である「経書」の一つで、『周礼』『儀礼』と合わせて「三礼」と称される。『小戴礼記』とも。全49篇。
引用:ウィキペディア(Wikipedia)
笏の長さが2尺6寸と言われても、尺と寸の長さが分かりません ...
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日本では
- 1尺=約30.3cm
- 1寸=約30.3mm
となっていますが、中国では違うようで、現在の1寸は約33.3mmとなっています。
1尺=約33.3cm
1寸=約33.3mm
古代中国の笏は意外と大きめのサイズだったんですね。
中国時代劇で観る笏のまとめ
- 古代中国の笏はメモ・カンペとして使われた
- 身分によって素材・形状は異なる
日本でも笏は使われていますが、普段気にかけたことはありませんでした。今回、笏について調べてみて、閻魔大王も笏を持っていたと初めて知りました。