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君、花海棠の紅にあらず|第17話・18話・19話・20話のあらすじ

『君、花海棠の紅にあらず』のあらすじ第17話~第20話(全49話)

こちらの記事では『君、花海棠の紅にあらず』第17話~第20話までのあらすじとネタバレをまとめています。ネタバレを見るには をタップしてください😃

今回から新たに登場する人物

安貝勒アンベイレ:皇族
大奥様:安貝勒の母
侯玉魁ホウユークイ:男役の名優
鄭来鴻ジョンライホン:鄭原木の孫。范湘児の友達
木村医師:日本医科大学の医師

第13話~第16話のあらすじを見る

第17話 清風明月に届く声

南京に来た商細蕊は舟の上で崑曲を歌う。南京の権力者·劉漢雲はその歌声に心を寄せるが、声の主を陳紉香だと思い違える。一方、程鳳台は絡子嶺から帰還し、商細蕊が受けた理不尽な処罰を知る。事情を知った曹貴修は姜栄寿の元へ乗り込み、権力を使って処罰を取り消させるが、全てはある目的のためだった。


曹貴修がこの乱世について程鳳台に見解を求める。国民政府とはいえ政府の威信は地に落ち、権力は各地の軍閥に握られている。おまけに外国勢がはびこる。悲観的にみて50年、楽観的にみて10年と聞き、貴修が本音を漏らす。毎日兵の相手ばかりで、実戦がないとこんな日々には耐えられないと言う。戦うのは好きだから前線を離れるとつまらないようだ。

テントの外では、いつもと違って女性らしい装いのグーダーリーが程鳳台を待っていた。鳳台は曹師団長をその気にさせておいたとグーダーリーに手ほどきをし、貴修のテントに向かわせる。

一方、商細蕊と陳紉香は南京の船の上で過ごしていた。細蕊が歌う崑曲に聞き入る紉香。同伴する女性たちに、これほど正統派の崑曲は今では滅多に聴けないと力説する。細蕊の歌声が劉漢雲の所まで届く。劉漢雲は歌に耳を傾ける。紉香の船だと知り納得するが、声の主が細蕊とは知る由もない。

夜が明け、絡子嶺を離れる鳳台に、グーダーリーが昨夜のお礼に食事を届ける。満足したグーダーリーに対し、曹師団長はテントから出てこない。ケガをさせてないかと心配する程鳳台に、出てきた貴修は欠けた歯を見せ、女匪賊は西洋の女より野蛮だと告げ口する。

年の瀬に家族団らんをする姜家に曹貴修と杜洛城の車が到着する。貴修が洛城に用件を尋ねる。喧嘩だと答える洛城に、それなら一緒に入れと指示する。軍人が乗り込み、洛城が続く。驚く会長・姜栄寿に洛城は状況を説明し、水雲楼の契約に関して解釈を始める。ルソーの「社会契約論」を読み始める洛城。「社会秩序の構築は力ではなく契約に基づくべきだ 強者は契約を権力に転じ権力でもって貢献する」と聞き、貴修が遮る。時には力に頼る必要があると反発し、姜栄寿に銃をつきつける。程の二旦那に代わり挨拶に来たと伝え、商細蕊は祖師を侮辱したかと問う。発砲して脅し、「商細蕊は祖師を冒涜していません」と大声で言わせる。以前、細蕊は曹司令官に頭に銃を当てられても命より芝居が大事だと答えたが、根性なしの姜栄寿に細蕊を中傷する資格はないと捨て台詞を吐く。

貴修が鳳台に報告する。感謝の言葉だけで済ませようとする鳳台に不満な貴修は、程美心から話をまとめさせるよう促す。美心は、鳳台を助けたら武器弾薬を渡す約束をしたと白状する。貴修と関わりたくない鳳台は、貴修と曹司令官のどちら側に立つべきか思案していると明かす。父である曹司令官が敵と通じていると口にしていることを聞き、美心は貴修を非難する。

これを受けて、鳳台が再び貴修に呼び出される。倉庫の箱には日本の三八式歩兵銃が。北方の匪賊が日本の分隊を襲っていると耳にした程鳳台は、貴修の仕業かと尋ねる。残りの証拠品はそのうち証明してみせると貴修が答える。

劉漢雲の宴にお呼びがかかったと陳紉香が伝える。劉漢雲は南京で2番目の権力者で芝居に詳しい。名優も見慣れていて、北平では寧先生が一番のお気に入り。寧先生が劉漢雲は通だと評価しているほどの人物だ。一緒にやろうと商細蕊を誘うが、南京にいると知られたら面倒な細蕊は、紉香の付き人になり、こっそり見ることにする。

馬番頭が年末の帳簿を持ってくる。手柄を立てた范湘児を称賛し、その実力に脱帽する。范家は歴代運送業で、有名な商人も輩出していている名家なのだ。夫を心配しながら店のために頑張ってくれた湘児に、ビルマから取り寄せた宝石を厳選する。

劉漢雲の宴に呼ばれた陳紉香が新年の挨拶をし、演目を差し出す。しかし劉漢雲は目録にあるものを好まず、崑劇「琴桃」の「朝元歌」をリクエストする。演奏に合わせ歌いだす紉香だったが、途中で歌詞がでなくなってしまう。陛下の御前でもその程度か?という劉漢雲の言葉に、準備不足だと跪いて謝罪する紉香。この時代でもすぐに跪ける紉香に驚きつつ、一息入れた後、歌いなおすよう劉漢雲が告げる。

君、花海棠の紅にあらず 第17話・第18話|崑劇『朝元歌』とは?
「君、花海棠の紅にあらず」17話と18話に出てきた『朝元歌』について調べてみました。

第18話 結びつき

劉漢雲から崑曲を歌うよう迫られた陳紉香は、困り果てて商細蕊に泣きつく。商細蕊は仕方なく、陳紉香が歌っているように見せかけて舞台裏で歌うことに。2人の企みはすぐに見抜かれてしまうが、劉漢雲は商細蕊の才能にほれこみ、義子として迎え入れる。強力な後ろ盾を得て北平に戻った商細蕊。だが、話を聞いた程鳳台は顔を曇らせる。


劉漢雲を満足させることが出来なかった陳紉香は跪いて謝罪する。黙想してくるよう言われ、食いぶちを失う危機だと落ち着かない。最近は京劇ばかりで崑劇の節回しを忘れてしまった紉香は、商細蕊が舟で「玉簪記・琴桃」を歌わなければこんなことにはならなかったと責任をなすりつけ、助けを求める。

仕方なく細蕊が幕の裏で歌い、紉香は歌っているふりをする。劉漢雲はすぐに声色の違和感に気づいたが、絶技だったと褒める。初めて細蕊の歌を聴き、節回しが寧九郎の趣を帯びていたと評価する。寧先生から芸を習った細蕊は、崑劇を演じる者はわずかになってしまったと残念がる。崑劇の節回しは役者を育てると寧先生が言っていたことを思い出した劉漢雲は、2人を会食に招待する。

その頃、程鳳台はレコードを聴いていた。制服を身にまとった察察児が、義姉を説得できたかと尋ねに来る。古風な考え方の范湘児に手を焼く2人が攻略法を話し合っていると范湘児が現れる。

君、花海棠の紅にあらず 第18話
出典:https://winter-begonia.com

会話を聞いた范湘児は察察児の制服姿を一瞥し出て行ってしまう。鳳台は湘児を説得するが、頑固な湘児は聞く耳を持たない。二旦那は留学途中で帰国し思い残したことがあるから水雲楼で心を満たしていると言い出す。志を追うのは許すが、よそで子供だけは作らないでと言い残し、鳳台が贈った指輪を置いて出ていく。

劉漢雲の家族の集まりに招待された細蕊と紉香は、養子たちとを対面する。養子たちも京劇愛好家で紉香とは面識があった。姜栄寿とのいざこざを釈明する細蕊に、劉漢雲は後ろ盾がいたほうがいいと、義父になることを提案する。状況を呑み込めない細蕊だが、紉香や養子たちの後押しもあり、これを受け入れる。早速、儀式が行われ、養子になった細蕊に劉漢雲が言葉を贈る。梨園で役者としての精神を守れ、道徳に背くような真似をすれば容赦しないと念を押し、金の如意を贈る。

劉漢雲の養子になり、強力な後ろ盾を得た細蕊を紉香がからかう。父親も出来たことだし上海へ出発しようと言う紉香に、今度は義母でも作る気かと拒否し、細蕊は北平へ戻ることに。

北平報社に杜洛城の姿があった。洛城はいくつかの筆名で執筆していたが、担当者も社長もそのことを知らず、腹を立てていた。それを持ち出し、大晦日に曹貴修の権力を借り、商細蕊が姜栄寿を抑えたというネタを握りつぶす。新たに原稿を書くことを承諾し、執筆料を弾ませ前払いさせる。

北平に戻る商細蕊を程鳳台が出迎える。列車から次々と乗客が下車するが商細蕊の姿が見当たらない。時間を間違えたかと案じたが、変装した商細蕊にようやく気が付く。腹ペコだという商細蕊を、水雲楼一座が待つ宴の席へ連れていく。

君、花海棠の紅にあらず 第18話

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鍋をつつく座員たち。座長が劉漢雲の養子になったと聞き、劉漢雲は何者かとざわつく。劉漢雲が大の権力者だと聞き、水雲楼は無敵だと喜ぶが、鳳台は浮かない顔。劉漢雲について詳しくない鳳台だが、成功した若いものばかりを養子にしている彼の行動には下心があると見る。

そこへ鈕白分が師範を引き合わせに来た。梨園会館での件を謝罪したいという。師範たちも契約制には賛成していたが、会長が怖くて迎合してしまったと詫びる。細蕊は受け入れるが、鳳台は気に入らない。会館では会長にこびへつらい、外では細蕊に愛嬌を振りまき、処世術に長けた八方美人ばかりだと非難する。しかし梨園では保身のために皆必死で、至る所でうまくやらなくてはならない。役者は互いを頼りつつ嫉妬しあう複雑な関係なのだ。だから他人に不満があっても堪えるべきで、耐えられないならその者から逃げるしかない。しかし会長は距離をおくことを許さないのだった。

車で察察児を送る鳳台。新しく出来た友達が商会の鄭会長の孫と知り、学校にいる全員を調べるよう指示する。そして別件を依頼していた鳳台は運転手から封筒を受け取り、中を確認する。ある人物の写真をみて、まだ北平にいたのかと思い巡らす。

突然崑劇をやる気になった細蕊を理解できない洛城は、今時崑劇を観る人などいないと諦めさせるのに必死だった。崑劇の節回しは古くて興味をひかないという。しかし崑劇は”百劇の祖”とも言われ、役者なら誰でも思い入れがある。それをなぜ観たがらないのかと細蕊は不思議がる。何百年も続く伝統芸を途絶えさせないよう、どうすれば客は観に来るかと相談していると貝勒氏がやって来る。幼いころから崑劇を観ていた貝勒氏は、細蕊の崑劇に対する情熱に感激する。貝勒氏の母は細蕊の歌が忘れられず、寿宴に女役として招待しに来たのだ。準備が間に合わないと一旦は断るが、男役に侯玉魁を招待していると聞き快諾する。喜ぶ細蕊に反して杜洛城は、2か月後に梨園で行われる投票を案じていた。

第19話 嫌疑

程鳳台は北平商会の鄭会長宅を訪れる。真の目的は絡子嶺の親分殺害の罪を追及し自首させるためだった。しかし、鄭会長の孫·鄭来鴻を利用したことで、察察児を傷つけてしまう。一方、南京から戻った曹司令官は病のため日本人医師を付き添わせていた。曹貴修の言葉を裏付けるような状況に、程美心の心は不安に揺れる。


崑劇を公演すれば勝敗に影響が出ると案じた杜洛城は、今回は商細蕊を従わせる。そこへ細蕊に一芝居売ってくれと程鳳台が頼みに来る。細蕊は娼婦の恰好をして二親分の隠れ家を訪れる。女装姿の細蕊を確認し、警戒を解いた手下は招き入れるが、細蕊に一網打尽にされてしまう。

君、花海棠の紅にあらず 第19話 商細蕊
出典:https://winter-begonia.com

鳳台の代わりに運転手が察察児を迎えに行き、友達の鄭来鴻も同乗させる。鄭来鴻を送り届けたはずだが、鄭会長の婦人は孫が帰ってこないと心配していた。そこへ鳳台が訪ねてくる。以前会長から招待された商細蕊の「百花亭」のお礼に「完璧帰趙」を送るという。

そろそろ会長は引退するべきだと鳳台が切り出す。北平商会は荒れ放題で、内部は混沌としており、善良な者を会長にしなくては安心できない状態だ。しかし会長は身を引くつもりはない。金と権力を手放したくない様子に、会長が匪賊に人を殺めさせた事実を突きつける。悪辣な手を使う者に会長を務める資格はないと訴えるが、身に覚えがないとシラを切り、証拠を求める。鳳台が運んできた箱を開けると、匪賊の二旦那が出てきた。会長は匪賊に人を殺めさせていた。手下たちが鳳台に銃を突きつける。すると、外で孫の声。来鴻が鳳台の運転手に銃を突き付けられ、助けを求めている。会長が自首すれば「完璧帰趙」の幕引きとなると鳳台が伝えると会長は応じる。この一部始終を見ていた察察児はひどくショックを受ける。

寿宴のお祝いにきた鳳台。清朝の正式な衣装を身にまとった安貝勒が出迎える。辮髪は偽物だが衣装は先の皇帝から賜ったものだという。貝勒氏の母は病で、まだ光緒年間だと思っていると事前に忠告される。
鳳台を木の陰から細蕊が呼ぶ。水雲楼の出資者である鳳台に梨園のいいものを見せたいと、歴代の皇帝が観劇した場所へ案内する。建物を見渡す2人は、フイピン楼やヤーホン劇場では歯が立たないほど風格があると誉め称える。細蕊は舞台へ走り、歌ってみせる。この舞台で演じられる喜びを噛みしめ、皇帝陛下が観劇した王座を堪能する。

曹司令官の帰りを待つ程美心。そこへ司令官が戻り、美心は次々と料理を勧める。勝手に料理を口にする司令官の元へ白衣の女性が現れ、司令官には適さない食材と調理法だと諫める。病気を患ったと初めて聞かされた美心は腹を立てる。倒れてしまえば息子の貴修に兵と権力が奪われてしまう曹司令官は健康に万全を期す。しかし日本人医師をそばに置く司令官に美心は疑念を抱く。

安貝勒の屋敷で細蕊を探す鈕白分。もうすぐ出番だが姿が見当たらない。細蕊は隠れて舞台を見ていた。侯玉魁の演技をどうしても見たい細蕊は、順番を変えるよう小来に頼むが、大奥様の飼い犬がきて居場所がばれてしまう。

君、花海棠の紅にあらず 第19話

YuZheng

大奥様に自分も侯先生の舞台が見たかったと弁解すると、侯玉魁と商細蕊の掛け合いが見たいと「武家坡」を提案される。細蕊は侯先生が承諾してくれるか心配しながら支度にとりかかる。

楽屋の侯先生は顔に布を掛けたまま。声をかけても起きようとしない。鈕白分が機嫌を伺い、いろいろ賛美を並べるが反応がない。仕方なく顔の布を取ると、ようやく侯玉魁が口を開く。演目が変更されたと聞き、女役が大根役者だったら悲惨な舞台になると苦言。商細蕊は梨園では傑出した役者で、声は透き通り筋回しにはキレがあると鈕さんが紹介する。

準備をすませた細蕊が侯先生の楽屋へ。緊張している細蕊に、古い演目だから受け継がれてきた通りに演じれば文句は言われないと助言する。痛み止めのアヘンを吸う侯先生に、体に毒だと細蕊が諫める。侯玉魁がアヘンに頼るのを止められず義父は悔いていたと伝える。義父の名前が商菊貞だと聞いた侯先生は、同じ名前だなと呟く。

第20話 夢の後先

商細蕊は寿宴の席で憧れの名優·侯玉魁との共演をかなえる。安王府の大奥様は2人の演技にご満悦だったが、商細蕊が次の演目名を口にした瞬間、豹変してしまう。事情を聞いた商細蕊はその逸話を新演目にと考えるが、杜洛城に反対されてケンカとなる。一方、程鳳台は曹家の難題を抱えながらも、商細蕊の願いをかなえようと動いていた。


侯先生が商菊貞との思い出話を聞かせる。何年も前に他界した菊貞は、芝居に人生を注ぎながら何ひとつ良い思いをしなかった。そんな男役の商菊貞が女役を育て上げたことに驚く。商菊貞から教わったものを見せろと細蕊に言い付け、舞台へ向かう。

舞台で掛け合いをする2人に拍手喝采を送る客たち。大奥様の飼い犬もここぞという所で吠える。杜洛城が言うには、その犬は西太后の膝の上で観劇していたから目が肥えており、並みの役者では吠えないが寧九郎が舞台で歌うと吠えるという。今日の細蕊を評価する范漣は、この歴史に残る舞台のレコードを出したら売れると商売気を出す。

侯玉魁と商細蕊に褒美をだす大奥様。互いの演技を称賛した2人は、大奥様にもう一曲演じることを願い出る。喜ぶ大奥様は、細蕊に選曲させる。考えた挙句「探狐求狐」を選ぶ。

「探狐求狐」と聞いて、その場が凍り付き、大奥様は取り乱す。昔を思い出し、子を失ってしまったのは全て私が至らなかったゆえ、と細蕊にすがりつく。目を覚ますのだ、と侯先生が台詞回しで言うと我に返る。

楽屋へ戻った侯先生は、よろけながら椅子に座りアヘンを吸う。アヘンは良いものではないと知りつつ、もう手放せない状態になっていた。細蕊は西洋医の禁煙法を勧めるが、手遅れだと諦めている。そんな侯先生に、先ほどの大奥様について尋ねる。

程家では、程美心が曹貴修と取引をするべきではなかったと悔やんでいた。帰宅した鳳台に、取返しがつかないことをしたと許しを請う。曹司令官の傍に日本人医師がいたことから、貴修の話は事実だろうと伝える。心配する美心に、事実を調べると安心させる。

細蕊は、大奥様のことで侯玉魁を訪ねていた。40年前、商菊貞、侯玉魁、寧九郎、姜栄寿は安王の屋敷で光緒帝を迎えた。その時、侯玉魁と寧九郎が歌ったのが「探狐求狐」だった。

侯玉魁は偶然、珍妃様と大奥様の話を耳にしてしまう。珍妃が死を覚悟で西太后に背むき、若かりし頃の大奥様に命ずる。”安王夫人は子を身ごもった 男児であれば皇嗣とする 夫妻で教え導き 皇位を継ぎ 世を統べるにふさわしい器に育てよ”

その後、男の子を生んだ大奥様はしっかり養育したが、ある日その子は1人で遊びに出かけてしまい、二度と戻ることはなかった。以来、皇嗣の養育を暗示した「探狐求狐」は大奥様の心に暗い影を落とすことになった。この話が胸に響いた細蕊は、芝居にしてもいいかと侯先生に尋ねる。一喝されるが、昔から芝居は秘密やばかげた話から生まれてきたと理解を示される。

水雲楼に戻った細蕊は洛城にこの話を聞かせるが、皇家の内情に詳しい洛城は、年も日付けもおかしいと舞台化を断わる。事実でなくても面白ければいいと細蕊は譲らないが、面白くてもでたらめは書けないと洛城は怒って出ていく。洛城の剣幕に鳳台は心配するだが、新作を出すたびに口論をしている2人。数日したら必ず帰ってくると細蕊は気に留めない。
片やいつもと様子が違い、悩んでいるという鳳台に興味を示す細蕊。ある人が悪事を働いたと聞いたが真偽が分からず確かめようがないと鳳台が打ち明ける。そんな事は悶々と考えるより本人に聞けばいいという細蕊の言葉を聞き、早速司令官の所へ向かう。

司令官が親日家だと聞いた鳳台は、義兄が日本人と結託していては程家も巻き添えを食うと率直に伝え、国賊になりたくないと訴える。しかし木村医師が入ってきて、鳳台は追い出されてしまう。仕事場へ戻った鳳台は馬番頭を呼び出し、司令官の荷を動かすなと指示する。

細蕊に悪態をつかれ、腹を立てた洛城は、新聞社の社長に愚痴を吐いていた。今回で完全に縁を切り、頼まれても台本は書かないと息巻く。洛城の名声は高く、北平の一座は洛城の台本を欲しがる。以前、姜栄寿に台本を頼まれたが断っていた。社長は、姜栄寿を筆頭に四喜児や陳紉香の名を出し台本を書くよう勧めるが、洛城は誰も気に入らない。結局、細蕊にしか台本を書きたくないのだと言われ、むきになって帰ってしまう。

貴修が鳳台を訪ねる。司令官に対して打つ手を間違えた鳳台に、貴修が解決してやると請け合う。曹司令官の荷は予定通り送り、倉庫の位置を教えろと言う。荷を奪う気かと尋ねる鳳台に、行きつく先は同じ曹家だと貴修が答える。

水雲楼を訪れた鳳台は、安貝勒が劇楼を売ってくれたと吉報を知らせる。売買契約書を見て喜ぶ細蕊。侯玉魁と寧九郎があいだに入ってくれたおかげで、今後はあの舞台で公演できることになった。だがひとつ条件があるという。それは、劇楼と花園の間に壁を築き、大奥様がお望みのときは、いつでも歌いに行くというものだった。細蕊は京劇から昆曲まで何でも聞かせると快諾する。懐を温めつつ細蕊の歌が聴け、さらに催しで役者を呼ぶ費用が不要になった安親子は、商売がうまいと鳳台が褒める。しかし皇帝陛下が来た劇楼の価値は分かっていない。

水雲楼の開業の日が来た。記者や愛好者を招待し、日頃の感謝を范漣が伝える。幕が降ろされ「第一楼」の看板をお披露目する。

君、花海棠の紅にあらず 第20話

Wangfu

水雲楼一座が稽古をしていると、久々に洛城が顔をだす。「潜龍記」の台本を見せ、まさに空前絶後で非の打ちどころがない名作が出来たと恥ずかし気もなく言う。しかしその台本には問題があった。妃が死んで皇帝が主役になってしまうのだ。女役の細蕊は台本を変えるよう頼むが、天から授かった物語だから手は加えないと洛城は拒否し、いっそ細蕊が皇帝役をやれと言い放つ。主役を殺すとはあまりに不調性だと細蕊が腹を立てる。鳳台が仲裁に入り、いったん洛城を帰らせる。

鳳台が「潜龍記」を読んでみると、確かにいい物語だった。洛城の言う通り、いい話は天がくれるもので何ひとつ変えるべきではないと納得する。あと1か月で梨園の投票だが、この「潜龍記」は間違いなく注目を集め、披露すれば絶対に勝てると期待を寄せる。しかしまだ問題が残っていた。細蕊は皇帝役に決まったが、妃役が見つかりそうもないのだ。

第21話~第24話のあらすじ・ネタバレ

今回の記事でご紹介しているエピソード

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